診療予約システムの時間帯予約制の運用はこうなる

最近、予約制をとるクリニックが増えてきたように感じます。

これは予約制を採ることで事前準備がしやすくなるなどのメリットがあるためとも考えられますが、もうひとつはやはり院内待ち時間を短縮するためだと言えるでしょう。

一方で、予約制をとると受付スタッフの業務は増えるはずです。なぜなら順番待ち制にはない予約受付業務が追加されるからです。例えば1日50名の患者さんが予約を取るということは、その数だけ予約の電話を受け付けたり、次回予約を予約表に書き込んだりする必要があるのです。

そんな中で、診療予約システムが一般化したことによって、これらの業務をインターネット予約に振り向けることができるようになったことも、予約制が増えてきた理由のひとつではないでしょうか。

クリニックで予約制というとほとんどの場合が「完全予約制」のことではなく、「時間帯予約制」のことです。

すなわち、9:00の予約というのは、必ず9:00に開始するわけでなく、9:00に予約している患者さんを来院順に診察するということです。つまり、「9:00~9:30の時間帯に開始の予約」ということです。

このように予約制をとっていても、当日飛び込みでいらっしゃる患者さんももちろんいます。では、当日直接来院の患者さんの受付はどのようになるのか見てみましょう。

 

1. 朝の予約表

朝の時点でこのように予約が入っているとします。


 

そうすると、空いているところには当日直接来院される方が入れるということになります。
これは、当日予約をしたのと同じことだと考えると理解しやすいかもしれません。

 

2. 当日来院の方が入ってきた予約表

9:00に早速3名の患者さんが予約なしで来院されました。受付された順番に並んでいます。

そこに追加でもう1名患者さんが来院されました、どこに並んでもらうのがいいでしょうか?

 

3. 予約枠オーバーの患者さんが来院した時の予約表

9:00の予約枠オーバーの患者さんは、9:30の空いている枠に並んでもらうのが正解です。
9:30の予約の方はまだお見えでないので、9:30の先頭に並んでいただいても問題ありません。
当日の予約と考えれば、事前予約の方を優先する必要がないことがわかります。もちろん優先しても構いません。
また、患者さんから見た場合も、実際は受付順番制と変わらないので、直接来院の方が不公平感を感じることはありません。
もし不公平感を感じたとしたら、「予約を取ったほうがいい」となり予約比率が高まるのでむしろ好循環に変わっていきます。

以上のように、事前に決められた各時間帯の枠内で受付をしている限りは、
事前予約の患者さんと当日の飛び込み患者さんの区別なく、順番を決めていく運用になります。

時間帯予約制の運用では、これで、何の不公平もありません。
もちろん、予約患者さんを優先したい場合は、そのように運用することもできます。

一方で、直接来院した患者さんをその時間帯の枠を超えて受付けしてしまい、それが原因で時間が遅れた場合は、明らかに運用ミスということになり、後続の予約者に迷惑をかけてしまうことになります。

このように、診療予約システムが入ることで、当日の順番待ちの運用にも「枠」の概念が持ち込まれますので、ついつい飛び込み患者さんを受付けしすぎて待ち時間が長くなりすぎるリスクを管理することもできるようになります。

ただし、医療の現場ではイレギュラーなこともたくさんあります。枠を超えた受付ができないと希望どおりの運用ができなくなってしまうかもしれません。そのため「診療予約2015」では、「枠外枠」が用意されており必要に応じて診療枠を超えた受付ができるようになっています。

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